きらりと輝く!かながわ企業インタビュー

神奈川県内で事業を営む中小企業経営者の皆さまのインタビューをご紹介します。

「伝統建築に泊まる 歴史と文化が息づく老舗旅館」

神奈川県内で頑張る中小企業の皆さまのインタビューをご紹介します。

箱根・塔ノ澤温泉で創業135年を迎える老舗旅館『福住楼』様にお伺いし、歴史ある建物や経営の転機などについて貴重なお話をお聞きしました。

建物を残したい~その思いが事業承継へ

《 5代目 澤村吉之 様 》
中学2年生の時、祖母に「あなたが継がないのであれば、4代目で旅館を閉める。」と言われ、事業承継を意識しました。長男である自分が継ぐものという思いと、この『建物が好きで残したい』という気持ちもありました。
他の企業に勤めた後、一度家業に戻りましたが、もっと視野を広げる必要があると思い、熱海の旅館で3年間修業してから戻ってきました。

お客さまの声に背中を押され、歴史ある宿を文化財へ

お客さまからの「いい建物だから、残さなきゃいけない、大事にしなさい。」といった言葉がきっかとなり、多種多様な竹や木材を使用した、一世記を超える歴史ある貴重な京普請(※)の数奇屋造りの建築物として、平成15年に登録有形文化財に指定されました。初期の数奇屋建築が存在しているのは珍しく、日本伝統建築家の先生にも高い評価をいただいています。
※京普請…京町や京都の伝統的な建築様式に沿った工事や修繕を指す。

自然の脅威を乗り越えた先 ~大涌谷の噴火~

最大の転機は2015年の「大涌谷の噴火」です。当時、既に海外向けの事業展開も始めており、宿泊客の4割がインバウンド客でしたが、噴火以降は観光客が激減してしまいました。
5代目が箱根湯本の観光協会理事を務めていたので、観光協会として箱根一帯の噴火口からの距離を示したマップを作成し、安全性が確保されている地域もあることを国内外にアピールしました。日本ではメディアの報道から危機意識が拭えず、利用者は回復しませんでしたが、海外では火山観光というジャンルもあるほどで、マップをご覧になって安心したインバウンド客の予約が回復しました。以降も多くのインバウンドのお客さまにご宿泊いただいております。

「地域の宝」を残すために

当旅館の建物のような文化財は、個人の所有でありますが「地域の宝」でもあり、日本の財産として残していきたいと思います。そのためには地域の人と一緒になにかをやっていく、同じ文化財を大事にされている方たちと協力して、助け合う仕組みを考える必要がありますね。
個人が残すだけではなく、周りがあっての文化だと思います。

旅館名塔之澤温泉 福住楼
代表者澤村 恭正(4代目)
所在地足柄下郡箱根町塔ノ澤74
ホームページhttps://www.fukuzumi-ro.com/