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経営のヒント vol.22「トラブルを未然に防ぐために ~下請かけこみ寺への相談事例のご紹介(2)~」2022年7月4日

最新号 トラブルを未然に防ぐために ~下請かけこみ寺への相談事例のご紹介(2)~

前回のコラムでは、中小企業・個人事業主・フリーランスの皆さんが抱える取引上の悩みに関する相談窓口「下請かけこみ寺」に実際に寄せられた、取引先との契約に関するトラブルの相談内容をご紹介しました。

前回に引き続き、今回は、相談の中でも特に多い未収金の回収についての相談事例をご紹介します。

未収金を回収するには・・・

公益財団法人神奈川産業振興センターでは、中小企業・個人事業主・フリーランスの皆さまが抱える取引上の悩み相談を受け付け、問題解決に向けて専門の相談員がアドバイスを行う「下請かけこみ寺」を設置しています。

今回は、下請かけこみ寺に寄せられた未収金の回収についての相談内容と、解決手段をご紹介します。

トラブル事例[1]

個人事業主のA氏は、元請B社の一次外注先であるC社から空調の配線・配管工事を請け負っていました。

請負代金の50万円は月末締めの翌々月15日に振込みで支払ってもらう約束でしたが、1週間過ぎても振り込まれないためC社に連絡したところ、B社からの支払いが無いので振込みができないと言われました。

その後も度々電話で請求するも、1か月過ぎても支払われない状況が続いています。

B社に確認したところ、既にC社には支払済みだということが判明しました。

未収金を回収するためにはどうしたらいいか、A氏は「下請かけこみ寺」に相談することにしました。

トラブル事例[2]

大手配送企業の一次外注先D社と配送の請負契約をした個人事業主のE氏は、仕事を始めてから2か月経過したところで、自己都合により仕事を辞めることになりました。

契約書には「3か月以内で辞める場合には、違約金として30万円の支払いが発生する」と記載されていました。

請負代金は、今まで一回も支払われておらず、違約金の30万円を引いても50万円ほど残る計算になります。

しかし、D社へ督促しても差し引いた代金を支払ってくれません。

困ったE氏は、「下請かけこみ寺」に相談することにしました。

下請かけこみ寺より

請負代金の未払いは、事例1のように特に建設業で多く発生する傾向があるようです。

請負代金を支払わない企業の特徴として、電話をしても出ない、LINEは既読スルーするなど、請負先を無視する傾向があるようです。

未収金を回収するための手段として、①内容証明郵便で請求する、②簡易裁判所から支払督促をする、③簡易裁判所で少額訴訟をする等があります。

① 内容証明郵便で請求する

いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本(内容文書を謄写した書面)によって日本郵便(株)が証明する制度です。
法的な強制力はありませんが、未収金の回収について強い意志を示すことができます。
なお、有料になりますが、弁護士、司法書士に内容証明の作成を依頼することもできます。
弁護士・司法書士名で内容証明郵便を出すことで、相手企業への牽制にもなります。

② 簡易裁判所から支払督促をする

「支払督促」手続は、相手方の住所を管轄する簡易裁判所に、申立人の申立てのみに基づいて、書記官が相手方に金銭の支払いを命じる制度です。
書類審査のみで行われる手続きで、利用者が訴訟などのように裁判所に出向いたり、証拠を提出したりする必要がありません。
相手方からの異議の申立てがなければ、判決と同様の法的効力が生じます。
支払督促の手数料は、100万円の支払いを求める場合で5,000円と、費用面でも利用しやすい制度となっています。

③ 簡易裁判所で少額訴訟をする

少額訴訟手続きは、60万円以下の金銭の支払いを求める場合に限って利用できる、簡易裁判所の特別訴訟手続です。
少額訴訟は、簡易迅速に紛争を処理することを目的とした設けられた制度なので、原則として1回の期日で審理を終えて、即日、判決をします。少額訴訟手続きによって裁判所が下した判決に対して不服がある人は、判決または判決の調書の送達を受けてから2週間以内に、裁判所に対して「異議」を申し立てることができます。「異議」があったときは、裁判所は通常の訴訟手続によって、引き続き原告の請求について審理を行い、判決しますが、この判決に対しては控訴することはできません。
少額訴訟に必要な費用は、請求額60万円で手数料6千円と相手方に書類を送るための切手が必要となります。

前回のコラムでも、契約書を締結する必要性を書きましたが、訴訟では自分の言い分の裏付けになる証拠として、契約書、領収書、覚書等を揃える必要があります。

取引では、必ず契約書等を締結するようにしましょう。

下請かけこみ寺は、このようなトラブルなどについての相談を無料で受け付けています。
もし何か気になることがありましたら、大きな悩みになる前に、まずはご相談ください。

お問い合わせ先

TEL:0120-418-618 (下請かけこみ寺専用ダイヤル) 
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(提供:公益財団法人神奈川産業振興センター
経営総合相談課 田澤 雅一