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経営のヒント vol.28「『フロントエンド・バックエンド』商品設計はやはり大事」2024年1月5日

最新号 「フロントエンド・バックエンド」商品設計はやはり大事

さまざまな工夫をし、前向きに頑張って、売上を伸ばしている事業者さまについて、神奈川県よろず支援拠点が支援に携わった経営改善の事例をもとにご紹介します。

「神奈川県よろず支援拠点」では広く、コーディネーター等が中小企業・小規模事業の皆さまからのご相談に応じ、経営課題を分析し、総合的・先進的なアドバイスを行い、皆さまの経営課題の解決をお手伝いしています。

コロナ禍で創業
オンラインでコンサルティングを行う岩崎さんの支援事例

相談のきっかけ

ダンスのインストラクター、パーソナルトレーナーとして活動していた岩崎さんに転機が訪れたのは2019年のコロナ禍。

不特定多数の人が集まるダンスクラスの参加者は減少し、スポーツ施設の休業、利用制限が続く中、今までグループレッスンしかしたことがないインストラクターでも、パーソナルトレーナーとして新たな挑戦をしたい人はいるはず…

そう思った岩崎さんはオンラインでパーソナルトレーナー向けのコンサルティング業を開始しました。

Instagramで情報発信を開始したところ、すぐに800人のフォロワーがつき、DM(ダイレクトメール)での問い合わせや無料相談の申込みもあり、「困っている人はやはりいる!」と手ごたえを感じました。

さらなる集客のために、約80万円を支払いSNSのコーチをつけ、広告に力を入れました。

しかしながら、問い合わせや相談は多くあったものの、1件も成約につながることはありませんでした。

オンラインの成約は難しい… どうしたらいいのでしょうか。

創業から半年、ずっとインストラクターをしてきた岩崎さんから、こんなご相談がありました。

まずは、課題の整理から

Instagramからの問い合わせは多く、そこからオンライン無料相談を行っていました。

ヒアリングしてみると、無料相談は3時間にも及んでいて、その後のLINEの問い合わせにも無料で対応していました。
加えて、提案できるメニューが30万円のマンツーマン支援コース1本しかないことも判明しました。

オンライン面談が3時間ともなると、相談者は「もっと聞きたい」と思うよりも、「疲れた…」と思ってしまいます。

岩崎さんの熱い想いが裏目に出てしまっていました。


「たしかに30万円のコースは申込みづらいですよね。
 金額が高い分、無料相談は丁寧にと思っていたのです。
 でも、マンツーマンコース以外のメニューで何か良い方法はあるでしょうか…」

と悩んでいました。

フロントエンド商品・バックエンド商品を設計する

  1. まずはオンラインの無料相談を3時間から60分にして、相談者の悩みを聴く場とすること
  2. 次にマンツーマン支援コース(30万円)ではなく、申込みがしやすいフロントエンド商品とバックエンド商品を設計すること

Instagramでの発信は継続しながらこの2つの課題に取り組みました。

今までの相談から、スポーツトレーナーはクラスの担当はできるが、マンツーマンで営業をかけるのが苦手、自分の強みがわからない、という不安を抱えていることが判明しました。

そこで、

  • フロント商品『90分の強み発見ワーク』 5,000円
  • バックエンド商品『(パーソナルトレーナーの)コミュニケーション営業コース』 100,000円

のメニューを企画し、Instagramとホームページで告知を開始しました。

ハウツーだけでなく自分自身を紹介する

売り手が見えないと買い手は期待よりも不安が大きくなり購入の決断ができなくなります。

そこで、3人の子育て中のワーキングママであること、子育てエピソード、インストラクターの失敗談など岩崎さん自身を発信し、共感が得られるように提案しました。

支援の成果… 開始2か月で2件の申込み!

これまでゼロだったところ、2か月で2件の申込みが入りました!

Instagramで有益な情報を発信して無料相談への誘導、次に90分5,000円強み発見ワークのフロントエンド商品から、3か月10万円と4か月24万円のバックエンド商品が明確に配置できたことで、以前と比較してスムーズに提案することができるようになりました。

情報発信開始から2か月で2件の成約に繋がり、新規開店するスポーツジムでコミュニケーションスキルの新人教育講師としての依頼もあり、仕事の幅が広がり始めました。

マーケティングの基本「誰に・何を・どのように」に立ち戻る

最近は、YoutubeやSNS等で情報が溢れていて、経営において何をやっていいかわからなくなってしまっている場合があります。

そのような時は、マーケティングの基本に戻って「誰に何をどのように」にじっくりと向きあい、提供価値について言語化することが解決への近道になるケースがよくあります。

今回は、岩崎さんと「1対1となると上手くコミュニケーションが取れないトレーナーに、自信を持って(営業)コミュニケーションができるノウハウとスキルを伝える」ことを提供価値として定義してから商品設計を行いました。

支援の際に、
 お客さんが、「あなたに頼んで良かった!だって〇〇だったから」と言ってくれたとして、
 〇〇の部分には何が入ったら嬉しいですか?思いつくままに挙げてみてください。
と問いかけることがあります。

この〇〇に入るのが提供価値で、それを追求することこそが、これからの商売を発展させる唯一の方法です。

ご相談ください

神奈川県よろず支援拠点は、神奈川県内に7拠点(横浜、海老名、横須賀、小田原、川崎、藤沢、相模原)で中小企業・小規模事業者の皆さまのお近くで相談に対応できる体制を整えています。

経営に関するお悩みがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

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TEL:045-633-5071
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提供:公益財団法人神奈川産業振興センター
神奈川県よろず支援拠点
コーディネーター 三嶋 沙織